最近、と前置きするほど最近ではないけれど、
「その人らしさ」という言葉が、特に対人支援の現場で流行っていると思う。
結論を先に言うと、「その人らしさ」は大切な考え方(概念)だとは思うけど、
「その人らしさ」と言う用語は、マジックワードなので注意が必要です。
例えば、以前は考えずに出来ていたことが、
何かの理由で出来なくなった、という人を想像してみる。
年をとったから、病気になったから、ケガしたから、、、理由はなんでもいい。
考えたいのは、“出来る”状態が「その人らしい」のか、
“出来なくなった”状態が「その人らしい」のか、どっちだろう?
ということ。
おそらく、「出来るように戻したい」と主張したい人たちは、
“出来る”状態が「その人らしい」と言うだろう。
「その人らしさを取り戻せるように援助します」みたいに。
一方、心理的な受容などを目指したい人たちは、
“出来なくなった”状態が「その人らしい」と言うだろう。
「その人らしさを受け入れてあげましょう。そのための環境を整えましょう。」みたいに。
笑い話のような実話ですが、ある時に、
「その人らしさを取り戻せるように援助する」
と言っていた人が、次に会った時に、
「その人らしさを受け入れられるように援助する」
と真剣に言ったりするんです。
そうです、穿った見方かもしれないけれど、
どちらも「“その人らしさ”を援助している」と表現できるので、
とりあえず「私(たち)いいことやってます」アピールができてしまう。
ほら、マジックワードですね。
援助者が、それを他人だけじゃなく、自分(たち)を誤魔化す為に使い始めたら、
なんとなくですが、取り返しの付かないことになりそうですね。ああ、こわい。
0 件のコメント:
コメントを投稿