2013年10月17日木曜日

「その人らしさ」はマジックワードである。

最近、と前置きするほど最近ではないけれど、

「その人らしさ」という言葉が、特に対人支援の現場で流行っていると思う。


結論を先に言うと、「その人らしさ」は大切な考え方(概念)だとは思うけど、

「その人らしさ」と言う用語は、マジックワードなので注意が必要です。


例えば、以前は考えずに出来ていたことが、

何かの理由で出来なくなった、という人を想像してみる。

年をとったから、病気になったから、ケガしたから、、、理由はなんでもいい。


 考えたいのは、“出来る”状態が「その人らしい」のか、

“出来なくなった”状態が「その人らしい」のか、どっちだろう?

ということ。



おそらく、「出来るように戻したい」と主張したい人たちは、

“出来る”状態が「その人らしい」と言うだろう。

「その人らしさを取り戻せるように援助します」みたいに。

 
一方、心理的な受容などを目指したい人たちは、

“出来なくなった”状態が「その人らしい」と言うだろう。

「その人らしさを受け入れてあげましょう。そのための環境を整えましょう。」みたいに。


笑い話のような実話ですが、ある時に、

「その人らしさを取り戻せるように援助する」

と言っていた人が、次に会った時に、

「その人らしさを受け入れられるように援助する」

と真剣に言ったりするんです。




そうです、穿った見方かもしれないけれど、

どちらも「“その人らしさ”を援助している」と表現できるので、

とりあえず「私(たち)いいことやってます」アピールができてしまう。

ほら、マジックワードですね。


援助者が、それを他人だけじゃなく、自分(たち)を誤魔化す為に使い始めたら、

なんとなくですが、取り返しの付かないことになりそうですね。ああ、こわい。

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